日本より大変?アメリカの就活事情
- アドバイス
アメリカでは高校でのインターンシップの時点から、既に就活がスタートしていると言って過言ではありません。今回はアメリカの就活事情をインターンシップの観点から紹介します。
■高校生から意識する就活
アメリカでは、ほとんどの高校生がパートタイムのインターンシップ(無給を含む)を経験します。
インターンシップの内容や成果は、大学の入試事務局が受験生の合否を決定する際の大きな判断材料の一つになります。また、入試事務局は専攻分野とインターンシップでの経験の関連性についても確認をします。例えば、専攻分野として公衆衛生を希望する受験生は、病院や歯科医院など医療分野のインターンシップ先を探すことが、合格獲得に向けた第一歩となります。
また、アメリカでは専攻分野と仕事には、何らかの関連性が求められるため、高校生の段階で真剣に自分自身の将来のキャリアを考えて大学での専攻分野を決めないと、就活の時に志望する仕事に応募すら出来ないこともあります。このためアメリカの高校生は、高校在学している段階で将来のキャリアを見越したインターンシップ先を決める必要があります。つまり、アメリカでは高校生のインターンシップは就活の前哨戦と言っても過言では無いのです。
■大学4年生とインターンシップ
アメリカの大学生の多くは、大学4年生になるとフルタイムのインターンシップに応募して就活をスタートします。
アメリカの大学では、一定の要件を満たせばインターンシップは単位として認定されます。日本のように新卒一括採用方式は採られていないので、基本的には欠員を補充する形でインターンシップの受け入れ規模や人数を決定します。必要に応じて人事部門が一括してとりまとめをおこないますが、多くの場合は各部署が独自に学生をリクルートします。それゆえ、インターンシップの募集が出ているという情報にアクセスできるかどうかが、就活の成否を決める大きな要素となります。このため、学生たちは家族や親戚のツテをたどって、自分の専攻している分野に関連するインターン先の情報を得るために躍起になります。
また、インターンシップでは健康保険や年金への加入といった福利厚生がインターン先から提供されることもあり、経済的に学生自身が自立するうえでの大きな第一歩という意味合いもアメリカのインターンシップは持っています。
■インターンシップとコスト
これまで述べてきたように、アメリカの就活におけるインターンシップの価値は、日本の就活における価値に比べて非常に高いと評価できます。とりわけ有名企業や国際機関、政府機関などでのインターンシップ経験は、他の企業や組織への応募の際、学生の大きな武器となります。
このため、たとえ無給でのインターンシップであっても価値のある経験を求めて、学生がこぞって応募をしますが、当然のことながら無給ですので、参加に必要な交通費や住居費などのコストは学生側が負担しなければなりません。また特定のインターンシップ先で、長期間勤務したほうが内定獲得の確率は上がりますが、コストの負担を関係で参加を断念する学生もいます。言い換えれば、インターンシップから生じる金銭的・時間的コストを、どの程度できるかによって内定を獲得できる確率が変わってきます。
■アメリカの就活事情のまとめ
これまで見てきたように、アメリカではインターンシップが就活において、日本以上に大きなウエイトを占めます。このため高校生でのインターンシップ先を選択する段階から、将来のキャリアや進学先を意識する必要があるなど、日本よりも早い段階で自分自身のキャリアや就活について考える必要があります。
また大学生になると、インターンシップを通じて経済的な自立の第一歩を歩むチャンスがあると同時に、どの程度、金銭的・時間的コストをインターンシップに対して割くことができるかが内定獲得の成否を分けるこという事情もあります。このようにアメリカでの就活は日本よりも早い段階から始まり、また人気企業や国際機関といった先から内定を獲得するまでには、相当の金銭的・時間的コストが必要となります。つまり、アメリカにおいても日本においても学生の就活が容易ではない点には大きな違いはないわけです。