「最短最楽で内定が欲しい」就活生と、経験10年の就活アドバイザーのやりとり
- アドバイス
「最短最楽で内定が欲しい」と考えている就活生花子さんと、経験10年の就活アドバイザーの太郎講師のやりとりをみてみましょう。
花子「早速ですが、まずはESを書かなければいけないんですが、『こうかけば内定が出る』というのを教えてください。食品業界を中心にみているんですけど、いろいろ忙しくて時間もないので、ぱっと書いてすぐに提出したいんです」
太郎「ESでは、これを書けば内定、というものはないよ。もしそんなものがあったら、それを書けば全員内定が出ることになってしまうよね」
花子「でも、ES本ってあるじゃないですか。そこには、実際に過去に内定を取ったESが紹介されていますよ、あれを書けば内定が取れるんじゃないですか? そういうのが知りたいんです」
太郎「たしかにそのESで内定を取れた就活生はいるんだろうけど、他の人がそれを書き写すようなことをして、内定を取れることはないよ。実際、ES本を読んでもたくさんの人が落とされているよね?」
花子「じゃあ、ES本は意味がないってことですか?」
太郎「いや、ES本は読んだほうがいいし、参考になることもあるけど、それで内定が取れるというわけじゃない
花子「でも、ES本の中に、『この本を読んで内定を取った人がたくさんいる』と書いてありますよ」
太郎「就活では人気企業の倍率は、100倍を超えるものがざらにある。花子さんが目指している食品業界だと、たとえば雪印の倍率は400倍以上。400人受けても、399人は落ちてしまう。落ちてしまった399人の中には、ES本をしっかり読んだ人もたくさんいたと思わない?」
花子「たしかに、多くの人が読んだと思います…」
太郎「本だけでなく、ネットにもESの書き方についての情報がたくさんあるよね。そういった本を買うのは就活生。ネットのWebサイトを閲覧するのも就活生。書き手は多くの人に読んでもらいたいから、就活生が『これを読めば内定が取れそう!』と感じる内容を書いているんだ。そうないないと、本を買ってもらえないからね。だから、実際に内定が取れる内容を書いているとは限らないよ」
花子「じゃあ、ES本やネットには書かれてない、でもこれを書き、これを話せば内定が取れる」という情報が知りたいです。
太郎「わかった、じゃあちょっと話がそれるけど、質問してもいいかな。もし、花子さんがプロポーズされるとします。どんな男性でもこの言葉を言えば、花子さんがプロポーズをOKするという言葉を教えてもらえる?」
花子「そんな言葉ないですよ」
太郎「そうなの?」
花子「だって、だめな人は何を言ってもだめ出し、いい人なら普通に『結婚したい』と言ってくれるだけでOKです」
太郎「つまり、この一言を言えば、OKという言葉はないということ?」
花子「そりゃそうですよ」
太郎「就活も同じなんだよ、この一言を言えば、人事が即採用するという言葉はないんだ。まず人柄ありきで、その人柄や個性を言葉にしてくれてはじめて採りたいって思うんだ」
花子「たしかに、結婚するなら人柄ありきですね」
太郎「企業は採用したら40年、あるいはそれ以上一緒に働くことになる。ほとんど一生のパートナーと言ってもいい。社員からは辞められるけど、会社側からは辞めさせられない。だから、これをいったら内定出すなんて、そんな軽率なことはしないよ」
花子「この一言を言えば内定、というものはないことはわかりました。人柄ありきだということも。今、プロポーズという例えを聞いて思ったんですけど、こういう人柄なら絶対プロポーズを受け入れるということはなくても、こういう人は絶対NGというのはあると思うんです。例えば、ギャンブル好きとか、借金ぐせがあるとか。就活でもきっとNGがありますよね、それを教えて下さい」
太郎「つぎのような考え方は、評価につながらないだろうね。
・努力を惜しむ
・興味があることしかやらない
・自分の利益のためには頑張るけど、組織の利益のためには頑張れない
・理解し納得したことじゃないと頑張れない
・仕事より遊び優先
・得ることを中心に考え、提供は二の次
・論理や信頼より、気分や感情で動く
・素直さ、柔軟性がない」
花子「なんか私ほとんど当てはまるんですけど…」
太郎「花子さんが社長だったら、今の花子さんのような人に年収何百万か払って採用する?」
花子「しないかも苦笑」
太郎「花子さんが社長なら、じゃあどんな人なら採用する?」
花子「めっちゃ会社のために働いてくれる人!」
太郎「そうだよね笑 だから、花子さんがそういう人に少しでも近づくことができれば、近づいただけ内定が出る確率はあがるよ。いってみれば、バイトや学業、サークルなどの経験を通じて、『利己的な考えではだめなんだな、相手のため、みんなのために頑張ることが、結局は自分のためになるんだ』ということをどこまで理解しているかを、就活でアピールすればいいだろうね。もちろん、それが本心である必要があるよ。
花子さんだって、本気の人じゃないと結婚したくないだろうし、本気かどうかはきちんと見極めるよね。人事も同じだよ。もし、本心じゃないことを言って結婚できたり、内定が出たりすることもあるだろうけど、その場合、幸せにはなれないだろうね」
花子「どうやったら、企業のためにとか思えるんですか? 正直思えないんですよね」
太郎「最初はそういうものだと思うよ。自分のことで精一杯。他の就活生もそう。そんな中、ちゃんと企業のことを考えられる就活生がいたら、人事が『ぜひ欲しい!』ってなるよね。だから、一旦自己利益は捨てて、純粋に企業に何ができるのかを考えてみると、ESに書くことが自然と出てくるよ」
花子「なんか私企業のためになにもできることなくて」
太郎「なにも?」
花子「だって、学歴はいいほうだけど、特に資格もないし、特別な経験もないし」
太郎「それは他の就活生も同じだよ。それでもできることはたくさんあるよ」
花子「たとえばなんですか?」
太郎「朝、早めに出社して、先輩や上司に大きな声で明るく元気に挨拶をする。家に帰ってからも、業界に関する知識を学ぶ」
花子「そんなの誰でもできるじゃないですか」
太郎「誰でもできるけど、実際にやる人は少ないよ。花子さんはそういうことをしようと思ってた?」
花子「いや…大きな声で挨拶とかブラックそうだし」
太郎「花子さんは、小声で挨拶してくる男性と、明るく元気な男性だったらどっちがいい?」
花子「明るく元気な人がいいです」
太郎「明るく元気な人を求めるのがブラック企業だというなら、明るく元気な男性を求める花子さんはブラック女子になっちゃうよ笑 明るく元気じゃないとだめということはないけれど、明るく元気な人は社内を明るくしてくれるだけでなく、営業先でも気持ちよく受け入れてくれて売上を上げるだろうから、やっぱり採られやすいだろうね」
花子「じゃあ、ESに『明るく元気に挨拶します』って書けばいいんですか?」
太郎「それが本心なら、それをESに書き、面接でも言えばいいんだ。少なくとも、バイトで売上を2倍にしたとかのありきたりなエピソードを書くよりよっぽどいいだろうね」
花子「それで本当に内定が出るんですか?」
太郎「明るく元気に、というだけで内定が出るとは限らない。もっと仕事について考えれば、もっと書くことがでてくるはずだよ。理想的とされるビジネスパーソンの考え方を理解し、自分の考え方と照らし合わせる。自分のどこが至らないか、何も経験や実績がない自分が何をすべきか考える。それをしっかりとやれば、何を書くべきかが自然に決まってくるはずだよ」
花子「ほんとにそれでかけるか心配ですが、やってみます」
太郎「うん、じゃあ次回は実際にESを書いてきてみて。完成度は気にせずね。それを読みながら、ESの質を上げていこう!」
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この記事の著者:就活塾 キャリアアカデミー
就活塾 キャリアアカデミーは、就活生一人ひとりが自分にとっての「納得の内定」を
獲得できるようにサポートする東京・池袋の就活塾。元人事・採用経験者や、
国家資格キャリアコンサルタント保有者など約30名の講師を揃え、就活のノウハウを
伝えるだけにとどまらず、「社会人として求められる能力や考え方」の向上をめざした
指導を目指しています。
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